E30 325i parting – 別れ

16年に渡り、血と汗と涙、愛と情熱、そして何本ものビール、あらゆる感情が注ぎ込まれた1989年BMW 325i(E30)と別れるときが来た。

入手してからエンジン二基、トランスミッション三基、デフ三基、サスペンション三セット、サーキット、ロードトリップ、スキー、通勤、買い物、人の送り迎え、思い出、思い入れは果てしない。

E30のような車はもう作られることはない。ダイレクトなBMWならではの優れたドライビングフィール。電装機器に頼らないメカニカルな造り、自分でメンテしていつまででも乗っていられる。MCS、Z3ステアリングラック、LSDなど、拘りのModificationが詰め込まれている。痛みやガタや騒音も愛嬌。

しかしそろそろ疲れてきた。何かが壊れ、頻繁に修理、メンテが必要。雨漏りとも格闘。パワーウィンドーが動かなかったりするし、塗装はクリアが割れて剥げてしまっている。車をきれいに、動く状態に保つ手間に疲れてきた。かかる手間が愉しみを超えてしまいつつある。だからといって目の前でこのまま車が傷んで行ってしまうのは心が痛む。

新型コロナウィルスのパンデミックによる半導体などのサプライチェーンへの打撃で新車が手に入らない、それに煽られた中古車市場の価格高騰は尋常ではない。しかしこれは逆にチャンス。そのタイミングなのかも知れない。E30もジワジワと流通価格が上がってきてアホみたいな値段で売り広告が出ている。

売ろう、と決心。

Craigslist、Facebookなどに細かいスペック、問題点など詳細を書いて広告を出した。最初はアホみたいな高い価格提示。本当に買うつもりがある人だったらカウンターオファーを出してくるだろう、と。しかし問い合わせはほとんどなく。一か月くらいして値段を下げた。それでも売れたらいいな、と思う値段よりだいぶ高め。急に問い合わせが入り始めた。

その中でクルマを見たい、と言って一人やってきた。日が落ちる夕暮れ時。ある程度車には精通しているがBMWは持ったことがない、という人。一通り車の説明、そしてテストドライブをしてもらう。そこで商談にはならず、別れた。次の日、買いたい、と連絡が来て暗くなったころ車を引き取りに来た。代金をPaypalでもらって引き換えに車のTitle(車の登記書みたいなもの)、Registration(車検証みたいなもの)、Bill of Sales(Title交換のための売買契約みたいなもの)、車のメンテに係る領収書など書類の束を交換。スノータイヤの付いた純正ホイール、レース用のブレーキパッドもおまけに譲った。雑談をしばらく、そして買主とともに車は去って行った。

売れた・・・。

しばし感傷に浸る。Drive wayのいつもクルマが止まっていた場所にE30がない。心にポッカリと穴が空いた、そんな感じ。

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