GX470 ABS Brake Booster – ブレーキブースター

出かけ先で一日用事を済ませ、エンジンをかけると「ピー」となにかの警告音。インパネはBRAKE、ABS、VSC TRAC、VSC OFFの警告灯が点灯。エンジンを再始動してみたりするが警告灯、「ピー」音に変化はなく。車は普通に走る。しかししばらくするとブレーキのパワーアシストが効かなくなって止まるのが難しくなった。

友人宅に押しかけて、TechStreamでECUのデータをチェックさせてもらう。

定番のABSブレーキマスターの不具合。

ホウキの柄でABSブレーキマスターの下部に付いているモーターとポンプを小突いてみる。すると「ジー」とモーターが動き出す音。警告音と警告灯が消えた。ブレーキのアシストが戻ってしばらく普通に走ったが、また警告灯と「このまま乗ってたら死ぬぞ」の警告音。

GX470のブレーキブースターはエンジンの負圧を使ったマスターバッグではなく、電磁モーターでポンプを作動し、アキュムレーターに圧を溜めて、その圧を使って倍力する仕組み。アキュムレーターにセンサーが付いていて圧が検知されなくなると警告灯と警告音で「死ぬぞ」と言ってくる。

モーターとポンプだけ交換して対処する人もいるようだが、年式、走行距離も考慮し、ABSブレーキマスターアッシーを丸ごと交換することにする。

ABSブレーキマスターアッシーはブレーキフルードのリザーブタンク、ポンプ、アキュムレーター、ABSモジュールなどが一体になっている。

Facebookのコミュニティで評判のABSブレーキブースターをオーバーホールする人を見つけ、その人のeBayのサイトでアッシーを購入。交換作業の手順や、エア抜きの方法などていねいなメッセージも送ってくれて手厚いサービス。

交換作業は難しくはないが、作業スペースが厳しかったり落ち着いて作業する必要を感じた。

まずはバッテリーのアース端子を切り離す。

ABSブレーキブースターアッシーにつながっているハーネスのコネクター5つを外す。

運転席の足元にまわり、ブレーキペダルからブレーキマスターのシャフト、ブースターアッシーをダッシュパネルに固定している12mmのナット4つにアクセスする。

作業スペースを確保するためペダル上の化粧パネルを一つ外す。プラスネジ一つとクリップで固定されいてる。

配線コネクターのブラケットも10mmのナットを外して避けてスペース確保。

ブースターのロッドとアクセルペダルはクリップとピンを外して切り離す。

ブースターの12mmのナット4つは12mmのディープソケットにユニバーサルジョイントとエクステンションをつなげて緩めることができた。

エンジンルーム側に戻り、ブースターの下にウェスを敷いて漏れるであろうブレーキフルードを受ける用意をし、4本のブレーキラインをフレアナットレンチ(10mm)で緩め切り離す。これでブースターアッシー一式を車から取り出すことができる。ブレーキラインが邪魔するのでうまく避けて取り出す。ブレーキフルードはリザーブタンクにたっぷり残したまま、ブレーキラインの口は新しいアッシーに付いてきたキャップを入れたが、ブレーキフルードはほとんど漏れ出すことなく。

ブレーキペダルにつながるロッドを新しいブースターアッシーに移し、ブースターアッシーを車に取り付ける。4本のスタッドをダッシュパネルの穴に合わせ、室内のペダルブラケットの4つの穴もダッシュパネルの穴に合わせ、スタッドを通さないといけない。

室内にまわってスタッドに12mmのナットを付ける。しかし作業スペースが非常に苦しく、特に右下のナットに指先がうまく届かない。ステアリングコラムのカバーを外したり、そこにナットを落としてしまったのでカーペットを剥がすためにフットレストや左側のキックパネルを外さないといけなかったりと苦戦。とりあえずなんとかナットをスタッドにかけて締め上げないでエンジンルーム側へ。

ブレーキラインをつなげていく。これもなかなかネジが噛み合わず苦戦。ブースターの位置を微調整しながら苦闘するうちになんとかネジこみ始めることができた。フレアナットレンチでトルクをかけて固定。

室内に戻り、12mmのナット4つを締め上げてブースターを固定。外したパネルやらを元に戻す。

ブースターに配線コネクター5つをつなげ、ブースターの交換作業は終了。

続いてブレーキフルードをリザーブタンクに入れ、エア抜きの作業にかかる。

まずはDOT3の新しいフルードをリザーブタンクのMax辺りまで入れる。1qt(約900ml)のボトル一本まるまる入った。

バッテリーのアースをつなげる。すると早速ブースターのモーターが「ジー」っと少し動いて止まる。

キーをONに回す。エンジンはかけない。警告音が鳴り始める。そしてブースターのモーターが動いては止まり、を繰り返しアキュムレーターに圧がかかっていく。2分くらい経つと警告音が止まった。

ここでブレーキペダルをゆっくり底まで踏む。ブースターのモーターが動き始める。ペダルを戻す。しばらくするとモーターが止まる。止まったらまたペダルをゆっくり踏む。モーターが動き始める。ペダルを戻す。モーターが止まる。これを25回繰り返す。この間ペダルはずっと踏み応えがなくスカスカな感じ。

エンジンをかけて様子見。警告灯、警告音共に付かず、正常。

エンジンを切る。キーをONにしておいてフルードのエア抜きを始める。

リザーブタンクもMAX付近までフルードが入っていることを確認しておいて、右前のキャリパーから。ハンドルを左いっぱいに切ればブリーダーバルブにアクセスできる。キャリパーのブリーダーバルブにオープンレンチをかけ、そこにホースと廃油受けのボトルをつなげ、助手にブレーキペダルを踏んでもらう。何度かやっているうちに大きなエアポケットが出てきたりして、エアが見えなくなるまで。ペダルにだいぶ踏み応えが出て硬くなって来る。

左前。ここも何度かペダルを踏んで、ブリーダーバルブを開け、と繰り返しエアを抜く。この時点でペダルはほぼ正常に硬くなった。

リザーブタンクにフルードを追加。

右後ろ。リアもジャッキアップとかタイヤを外さず、下に潜ってキャリパーのブリーダーバルブにアクセス。GX470のリアブレーキはペダルを軽く踏むとブースターからフルードが押し出されてブリーダーバルブからフルードを抜くことができるので何度もペダルを踏んだり、バルブを開け閉めしたりする必要がなくて簡単。

左後ろも同様に作業し、リザーブタンクにフルードを追加し、エア抜き完了。

ブレーキの踏み応えも正常、点灯していた警告灯も消え、警告音もしなくなった。テストドライブ。以前よりブレーキの効き、タッチがよくなった。

アースを切り離していたのでパワーウィンドーがリセットされ、運転席のスイッチから助手席や後部座席の窓の開閉ができなくなった。これをリセットする。

各ドアのスイッチを押し続けて窓を開け、窓が完全に開いたところでスイッチを更に2~3秒押し続ける。窓をスイッチを押しながら閉め、窓が完全に閉まったところで2~3秒ほど押し続ける。全部のドアを順番にリセット。運転席のスイッチで全部の窓の開閉ができるようになる。

ムーンルーフも同じようにスイッチを押し続けてチルトアップ、チルトダウン。するとオート開閉が機能するようになる。

アイドリングの回転数を維持できず、エンジンがストールしてしまう。これもアイドルスピードのリセットをする。

エンジンを完全に暖気し、エンジンを止め、キーをOFFに。サイドブレーキを解除。Pレンジでブレーキを踏んだままキーをONにし、エンジンをかけずにキーをOFFへ。これを3回。4回目にキーをONにしたらエンジンをかける。サイドブレーキを引き、Dレンジへシフト。この時点で500rpm近辺でギリギリアイドリングしていた車がアイドリングを続けようと回転数を自動的に上げて来る。アイドリングが安定してそのまま7分ほど放置。エンジンを切る。これでアイドリングが700rpm近辺にリセットされ、走りやすくなった。

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